中小M&Aでのセカンドオピニオン

今回は、一昨年度からニーズが高まっている、標題の業務についてレポートをさせて頂きます。M&Aとはご存じの通り、企業・事業の買収や合併のことです。2005年前後に業界で大きな事件が起こり、それを機に世間へと周知がなされました。


 当時は「敵対的M&A」と呼ばれる、強引な株式の取得による経営権の掌握・グループへの編入などが多く行われた時代で、世間一般的には非常に印象の悪い事柄でした。この敵対的M&Aは世にいう大企業や、ボーダーレス(国境を超える)での案件が多くみられましたが、世間的な悪印象が強まったことと、リーマンショックの影響で、M&Aの件数は大幅な減少へと推移を見せました。

 

しかし、その後2012年頃から件数は再度増加傾向を見せており、近年もその傾向は続いています。近年の増加要因は、中小企業の事業承継としての案件数が増えてきていることが主な要因となっています。


 中小企業の事業承継案件が増えてきている要因を、少しマクロな視点で見てみましょう。現在の日本の大きな課題として、「中小企業数の減少と、経営者の高齢化」があげられます。統計データによると、1999年に約480万社あった中小企業は現在では100万社以上減少していると言われています。また経営者の高齢化も進んでおり、政府の試算では「2025年には中小企業の経営者の2/3近くが70歳以上となり、しかもそのうち約半数の120万社の後継者が未定」となっています。

 

 これらの現状を放置すると、2015年~2025年の累計で、約650万人の雇用と、22兆円のGDPが失われる可能性があると言われており、中小企業への依存度が大きい日本の経済にとって、事業承継対策が非常に大きな課題となっています。


 話を戻すと、この課題を解決すべく近年のM&A市場は「中小企業の外部承継案件」が非常に増加しており、それらが近年の件数の増加に繋がっています。つまり、親族内で事業承継するのではなく、外部の会社へ事業を譲渡することが市場で多くなっているということです。 この説明だけですと、良い傾向のように感じますが、現場では様々な問題が起こっています。その中で現在私が感じている課題は主に下記の2点となります。


①大企業と違い、一生に一回のM&Aである。

中小企業同士のM&Aですと、売り手側にとっては初めてのM&Aとなるケースが大半を占めます。したがって、そもそもM&Aに対する知識をお持ちでないことが一般的です。知識がない状況で、一生に一度の大きな取引をすることになるわけですから、当然大きな負担と不安をお抱えになることになります。


②大企業と違い、双方にアドバイザーが付く形でなく、仲介型で行われる。

 2つ目の課題は、仲介型で行われることです。より正確に申しますと仲介型で行われることにより、「利益相反になるのではないか?」という不安を経営者様がお持ちになる事が課題です。規模の大きいM&Aの案件は双方アドバイザーが付くケースが多く、交渉が行われる際は、アドバイザーを通じて譲渡金額が適正に決まっていく事になります。


 それに比べ、近年増加している中小企業同士のM&Aでは仲介業者からの紹介案件が多くなっています。この紹介業務は、当然ですが仲介会社が売り手と買い手の間を取り持つため、一歩間違えれば利益相反にあたる可能性があります。つまり、仲介会社が一方の肩入れをすれば、もう一方は不利益を被る事るという事が課題となります。


上記の2つの課題の解決の為に、近年では仲介型案件のセカンドオピニオンとして業務のご依頼を多数いただいております。

 仲介会社を信じ切る事ができれば良いのですが、「知識もあまりないし、この金額で売るのが正しいのか?またこの金額で買って良いのか?判断に困る」というお客様がいらっしゃいましたら、是非お声がけ下さい。


(追記)2020年3月に発表された中小M&Aガイドラインの中でもセカンドオピニオンが推奨されました。

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