この記事を書いている今日の日付は4月10日です。今世間では新型コロナウィルスが猛威を振るっており政府からは緊急事態宣言が出されました。そして前日の4月9日、一日の感染者数は東京、大阪で過去最多となっていしましました。皆さまがこの記事をお読みいただいている頃には少しでも事態が終息に向かっている事を心から願います。
さて、この度の事態を受けて政府はGDPの2割に相当する規模の経済対策を打ち出しています。その一つである中小事業者向けの特別融資制度が注目されています。突然売上が激減した事業者が資金繰りに窮し、相談件数は急増。主な窓口である日本政策金融公庫は毎日パンク状態となっています。それほど、多くの事業者が経営の危機に直面している状況なのです。
融資を受けて切り抜けられれば良いのですが、融資を受けられない、融資が間に合わない、といったケースも当然出てくるでしょう。売上は入らない、融資も間に合わない、しかし支払は待ったなし。そのような状況で限られた原資をどこから優先して払うべきか。下記の支払いについての優先順位を考えてみたいと思います。
<支払の種類>
・給与 ・仕入先(現金) ・仕入先(手形決済) ・借入返済 ・税金
1位:仕入先(手形決済)
最も優先すべきは手形決済としました。経営者として最大の責任は「倒産させない事」です。不渡りを出してしまえば、手形交換所を通して金融機関に通知されます。そして企業としての信用は失墜します。2回目の不渡りで銀行取引停止となり事実上の倒産です。即倒産につながるリスクがある、という意味で優先順位を一位としました。
2位:仕入先(現金)
中小企業にとって取引先との信頼関係は重要です。商品の仕入れが出来なければ事業は成立しません。そして誰しも代金の回収に懸念がある会社とは取引を避けようとするはずです。一度でも支払遅延など起こしてしまえば信頼関係は崩れてしまいます。「自分よりも立場の弱い仕入先に無理を言って支払いを待ってもらおう。」などとは考えるべきではありません。
3位:給与
2位の仕入先(現金)と迷いました。社員にも生活があります。できれば社員を優先したいところです。しかし、取引先からの信用を失う事は長期的に経営難に陥るリスクがあり、将来的な従業員の雇用にも影響してくると思います。ここは長期的な目線でみて、社員の雇用を守る為に仕入先を優先する事としました。
4位:税金
税金の滞納が発生したとしても直ちに企業が倒産するわけではありません。しかし、延滞税もかかってきますし、不動産への差押えが入れば、たとえ解消になったとしても登記上に履歴が残ります。銀行からは「過去税金滞納した企業」として評価が下がってしまいます。
5位:借入返済
この中では最も低い優先順位としました。理由としては、条件変更という方法があるからです。借入を延滞すると銀行も困ります。なぜなら不良債権として公表すべき対象となってくるからです。その為、どうしても返済困難が場合は条件変更によって、正式に返済を先延ばしにするという方法があるのです。また、仮に延滞になってしまったとしても銀行には守秘義務がありますので取引先に対する信用にはさほど影響はありません。しかし当然ですが、だからと言って安易に延滞してはいけません。延滞利息もかかりますし、銀行からの評価は落ち、次からは借入の条件が悪くなる(もしくは融資を断られる)事となります。あくまで極限状態になったとき、上記の4つに比べて優先度が低い、というだけです。
以上が、私が思う支払の優先順位です。支払遅延により倒産リスクが最も高まるのは何か、の観点で検討しました。このように、危機的状況になった時にどう行動するか、普段から考えておくことも重要だと感じます。
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